「帳簿をつけようとしたら、知らない言葉だらけで固まった」
クラウド会計を開いて、「さあ、やるぞ!」と意気込んだものの、画面に並ぶ見慣れない言葉に手が止まってしまった。そんな経験、ありませんか?
「これって経費?それとも控除?」「家事按分って何…?」「源泉徴収ってどう記録すればいいの?」
ネットで検索しても、専門用語がずらりと並んでいて、読めば読むほど頭の中が「???」でいっぱいになる。

もしかして、自分で申告するのは無理かも…
そう思って、諦めかけていませんか?
大丈夫です。安心してください。
実は、帳簿づけでつまずくポイントって、ほとんど決まっているんです。逆に言えば、そのポイントさえクリアできれば、あとはスムーズに進められるようになります。
この記事では、初心者が必ずつまずく5つの用語を、専門用語なしで、実例を交えながら解説していきます。難しい説明は一切ありません。「なるほど、そういうことか!」と、一つひとつ納得しながら読み進めてもらえたら嬉しいです。
まずは全体像を把握しましょう
さて、この記事で解説するのは、以下の5つの用語です。
□ 1. 経費と所得控除 – 国民健康保険は経費じゃない!
□ 2. 家事按分 – 自宅の家賃、どう分ける?
□ 3. 事業主貸・事業主借 – プライベートのお金の記録方法
□ 4. 源泉徴収 – 振込額が請求額より少ない理由
□ 5. 減価償却 – パソコン買ったけど、一括で経費にできない?
上から順番に読んでいくのがおすすめですが、「あ、これ知りたかった!」という用語があれば、そこから読んでもらっても大丈夫ですよ。
それでは、さっそく1つ目から見ていきましょう。
【用語1】経費と所得控除の違い – 国民健康保険は経費じゃない!
初心者が迷うポイント
「フリーランスになって国民健康保険に入ったんだから、これって経費になるんじゃないの?」
と聞かれたことがあります。会社員時代は給料から天引きされていたものが、今は自分で払っているから、と。
でも実は、国民健康保険や国民年金は「経費」ではないんです。生命保険も、地震保険も同じ。これらは「所得控除」という別のカテゴリーになります。
「え、じゃあ住民税は?」と聞かれることもあるんですが、住民税や所得税は、経費にも控除にもなりません。
このあたり、本当に混乱しやすいポイントなんですよね。
初心者向け説明
まず、整理しておきましょう。
経費というのは、売上を得るために使ったお金のこと。帳簿に記録して、売上から引くことができます。
一方で所得控除は、事業をしているかどうかに関係なく、税金を計算するときに所得から引けるもの。確定申告書の控除欄に記入するものです。
この2つを混同してしまうと、税額計算が狂ってしまうので、ここはしっかり押さえておきたいポイントですね。
比較表で見てみましょう
| 経費 | 所得控除 | |
|---|---|---|
| どこに記入する? | 帳簿(会計ソフト) | 確定申告書の控除欄 |
| どんな効果がある? | 売上−経費=所得 | 所得−控除=課税所得 |
| 何を証明に使う? | 領収書・レシート | 控除証明書が届く |
経費になるもの
まず、経費になるのはこんなものたちです。
- 事業用の家賃、通信費、消耗品
- 仕入れ、外注費、広告費
- セミナー代、書籍代
- クレカの年会費、銀行の振込手数料
要するに、「事業のために使った」と言えるものですね。
所得控除になるもの(経費じゃない!)
一方で、所得控除になるのはこちらです。
- 国民健康保険料
- 国民年金
- 生命保険料
- 地震保険料
- iDeCo(小規模企業共済等掛金控除)
- ふるさと納税(寄付金控除)
- 医療費(一定額以上)
これらは帳簿には記録しません。確定申告書の控除欄に記入するものなんです。
経費にならないもの(控除でもない)
そして、どちらにも該当しないものもあります。
- 住民税
- 所得税
- 罰金・延滞金
- プライベートの支出
税金は全部だめかというと、個人事業税は経費になります。これは事業のために支払う税金なので。
よくあるNG例
❌ NG: 国民健康保険を「保険料」という勘定科目で経費計上してしまう
⭕ 正解: 確定申告書の「社会保険料控除」欄に記入する
❌ NG: 住民税を「租税公課」で経費計上してしまう
⭕ 正解: 住民税・所得税は経費にならないので、支払っても帳簿には記録しない
❌ NG: 生命保険料を「保険料」で経費計上してしまう
⭕ 正解: 確定申告書の「生命保険料控除」欄に記入する
見分け方のコツ
「じゃあ、どうやって見分けたらいいの?」と思いますよね。
簡単な見分け方があります。
「控除証明書」が届くもの → 所得控除
領収書やレシートで管理するもの → 経費
迷ったときは、「これって、事業で使ったものかな?」と自分に問いかけてみてください。
- YES → 経費
- NO → 控除か、経費にならないもの
まとめ
経費と控除を混同してしまうと、確定申告のときに「あれ?計算が合わない…」ということになってしまいます。
「控除証明書が届く=経費じゃない」
これだけ覚えておけば大丈夫。帳簿には経費だけを記録して、控除は確定申告書で別途記入するようにしましょうね。


【用語2】家事按分 – 自宅の家賃、どう分ける?
初心者が迷うポイント
自宅で仕事をしている人にとって、必ず直面するのがこの「家事按分(かじあんぶん)」です。
「自宅兼事務所の家賃って、全額経費にしていいの?」
「按分比率ってどうやって決めればいいの?」
「毎月、計算し直さないとダメ?」
初心者向け説明
家事按分というのは、自宅と仕事場を兼ねている場合に、費用を「仕事分」と「プライベート分」に分けることを言います。
たとえば、家賃10万円のマンションで暮らしているとします。このうち1部屋を仕事部屋として使っているなら、その部屋の分だけ経費にできる、ということなんです。
100%プライベートのものは経費にできません。でも、一部仕事用のものは、按分すればOK。
ポイントは、一度決めた比率は、年度内は(状況が変わらない限り)変更しないということです。
按分が必要なもの
代表的なものを挙げてみますね。
- 家賃
- 光熱費(電気・ガス・水道)
- 通信費(スマホ、Wi-Fi)
- 車両費(事業とプライベート両方で使う車)
按分比率の決め方
「じゃあ、具体的にどうやって決めるの?」と思いますよね。
いくつか例を見てみましょう。
【家賃の場合】
基準: 床面積 or 部屋数
例: 2LDK(60㎡)のマンションで、1部屋(20㎡)を仕事部屋にしている場合
→ 20÷60 = 約33% を経費計上
計算: 家賃10万円 × 33% = 3.3万円が経費
【光熱費の場合】
基準: 使用時間 or 面積
例: 1日のうち8時間仕事、16時間プライベートという生活の場合
→ 8÷24 = 約33%
計算: 電気代1万円 × 33% = 3,300円が経費
【通信費の場合】
基準: 使用時間 or 使用割合
例: スマホを仕事とプライベートで半々くらい使っている場合
→ 50% を経費計上
計算: スマホ代8,000円 × 50% = 4,000円が経費
【車両費の場合】
基準: 走行距離 or 使用日数
例: 年間10,000km走って、そのうち事業で3,000km使った場合
→ 3,000÷10,000 = 30%
計算: ガソリン代・保険料・車検代など、車にかかった費用全体の30%が経費
按分比率を決めるときのルール
ここが大事なポイントです。
- ✅ 合理的な基準があればOK(床面積、時間、使用頻度など)
- ✅ 一度決めたら年度内は統一する
- ✅ 税務調査で「なぜこの比率にしたんですか?」と聞かれたときに、ちゃんと説明できればOK
- ❌ 根拠なく100%経費にするのはNG
- ❌ 毎月コロコロ変えるのもNG
会計ソフトでの設定方法(簡単)
freeeやマネーフォワードなどのクラウド会計ソフトを使っているなら、「家事按分」の設定をしておくだけで、自動で計算してくれるので便利です。
まとめ
家事按分って、難しく考えすぎる必要はありません。
合理的な基準で按分比率を決めて、年度内はそれを統一する。これだけ守れば大丈夫です。
会計ソフトを使えば自動計算してくれるので、さらにラクになりますよ。
【用語3】事業主貸・事業主借 – プライベートのお金の記録方法
初心者が迷うポイント
「生活費を事業用口座から出したんだけど、これってどう記録すればいいの?」
「事業主貸?事業主借?何これ?」
「プライベートの出費も全部入力しないとダメなの?」
「名前が似ててどっちがどっちかわからない…」
この2つ、本当にややこしいですよね。私も最初は「どっちがどっち?」って混乱していました。
初心者向け説明
個人事業主って、事業のお金とプライベートのお金が混ざりがちなんです。
事業用口座から生活費を出したり、逆にプライベートのお財布から事業の経費を立て替えたり。
そういうときに使う勘定科目が「事業主貸」と「事業主借」なんですね。
会社でいうところの「社長への貸付・借入」みたいなイメージです。
ここで安心してほしいのは、この2つは税金に影響しない科目だということ。だから、そんなに難しく考えなくて大丈夫ですよ。
事業主貸とは
意味: 事業のお金 → プライベートに使った
使う場面:
- 生活費を事業用口座から引き出した
- プライベートの買い物を事業用クレカで払ってしまった
- 自分への給料(個人事業主には給料という概念がないので、実質これ)
- 住民税・所得税を事業用口座から払った
具体例
例1: 事業用口座から生活費5万円を引き出し
→ 借方:事業主貸 50,000円 / 貸方:普通預金 50,000円
例2: 事業用クレカでプライベートの買い物(服1万円)をしてしまった
→ 借方:事業主貸 10,000円 / 貸方:未払金 10,000円
例3: 事業用口座から住民税3万円を支払った
→ 借方:事業主貸 30,000円 / 貸方:普通預金 30,000円
事業主借とは
意味: プライベートのお金 → 事業に入れた
使う場面:
- 自分のポケットマネーで事業の経費を立て替えた
- 開業資金を自己資金から出した
- プライベート口座から事業用口座に資金を移した
具体例
例1: プライベート口座から事業用口座に10万円を入金
→ 借方:普通預金 100,000円 / 貸方:事業主借 100,000円
例2: 現金で事業の備品(3,000円)を買った
→ 借方:消耗品費 3,000円 / 貸方:事業主借 3,000円
例3: 開業時に自己資金30万円を事業用口座に入金
→ 借方:普通預金 300,000円 / 貸方:事業主借 300,000円
覚え方のコツ
これ、覚えるのに苦労しますよね。私が使っている覚え方をお伝えしますね。
事業用口座の残高が減ったら「事業主貸」、増えたら「事業主借」と考えると分かりやすいかもしれません。
まとめ
事業とプライベートが混ざってしまったときは、この事業主貸・事業主借で記録します。
税金には影響しないので、そんなに神経質にならなくて大丈夫。
「事業のお金が減った=事業主貸」「事業のお金が増えた=事業主借」
この2つだけ覚えておけば、あとは会計ソフトが勝手に計算してくれます。
さらに言えば、事業用の口座やクレカを完全にプライベートと分けておくと、この科目を使う頻度がグッと減ります。そうすると仕訳がすごくラクになるんですよね。
もちろん、完璧に分けるのは難しいかもしれません。でも、できる範囲で分けておくだけでも、後々の経理作業がずいぶん楽になりますよ。
【用語4】源泉徴収 – 振込額が請求額より少ない理由
初心者が迷うポイント
「請求書に10万円って書いて送ったのに、振り込まれたのは89,790円…なんで?」
「引かれた分、どこに記録すればいいの?」
「これって損してるってこと?どうすれば返ってくるの?」
初心者向け説明
源泉徴収というのは、クライアント(支払う側)が、あなたへの支払いから税金を天引きすることなんです。
フリーランスの場合、報酬の10.21%が源泉徴収されます(100万円を超える部分は20.42%)。
「えー、引かれちゃうの?」って思いますよね。でも大丈夫。
引かれた税金は、確定申告で精算されるんです。しかも、多くの場合は還付されて返ってきます。
つまり、「税金の前払い」みたいなものなんですね。
具体例
実際に計算してみましょう。
ケース1:請求額10万円の場合
- 請求額:100,000円
- 源泉徴収額:100,000円 × 10.21% = 10,210円
- 実際の振込額:100,000円 – 10,210円 = 89,790円
こんな感じで、約1万円が天引きされるわけです。
ケース2:請求額150万円の場合
- 100万円以下の部分:100万円 × 10.21% = 102,100円
- 100万円超の部分:50万円 × 20.42% = 102,100円
- 源泉徴収額:102,100円 + 102,100円 = 204,200円
- 実際の振込額:150万円 – 204,200円 = 1,295,800円
金額が大きくなると、引かれる額も結構な金額になりますね。
帳簿のつけ方
仕訳で記録する場合は、こんな感じになります。
- 借方:普通預金 89,790円 / 貸方:売上高 100,000円
- 借方:事業主貸 10,210円(源泉徴収税)
売上は請求額の10万円で計上して、引かれた分は事業主貸で処理します。
確定申告での処理
1月末から2月頃になると、クライアントから「支払調書」という書類が届くことがあります。
そこに記載された源泉徴収税額を、確定申告書の「源泉徴収税額」欄に記入します。
年間の所得税より源泉徴収額の方が多ければ、差額が還付金として返ってきます。
逆に少なければ、追加で納税することになりますね。
還付の例
実際にどれくらい返ってくるのか、例を見てみましょう。
- 年間の所得税:8万円
- 源泉徴収された税金:12万円
- 還付額:12万円 – 8万円 = 4万円が返ってくる
こんなふうに、多めに引かれていた分は、確定申告後に戻ってくるんです。
ちょっとした臨時収入みたいで、嬉しいですよね。
まとめ
源泉徴収は「税金の前払い」です。
最初は「え、こんなに引かれるの?」ってびっくりするかもしれません。でも、確定申告で精算されるので安心してください。
帳簿にはしっかり記録しておきましょう。多めに引かれていれば還付金として返ってくるので、むしろ楽しみにしていてくださいね。
【用語5】減価償却 – パソコン買ったけど、一括で経費にできない?
初心者が迷うポイント
「仕事用にパソコンを20万円で買ったんだけど、全額経費にできないの?」
「減価償却って何?計算が難しそう…」
「10万円以上は一括で経費にできないって聞いたけど、本当?」
初心者向け説明
減価償却というのは、高額な買い物を数年に分けて経費にする仕組みのことです。
パソコンやカメラみたいに「長く使うもの」が対象になります。
わー、計算が面倒!と思いますよね。
でも意外とシンプルですし、会計ソフトを使えば、自動計算してくれるので、そんなに難しくありません。
対象になる金額
まず、いくらから減価償却が必要になるのか見てみましょう。
| 申告方法 | 一括で経費にできる | 減価償却が必要 |
|---|---|---|
| 白色申告 | 10万円未満 | 10万円以上 |
| 青色申告 | 30万円未満 | 30万円以上 |
青色申告の方が、一括で経費にできる金額が大きいんですね。これが青色申告の大きなメリットの一つです。
具体例
実際に計算してみましょう。
【白色申告の場合】
- パソコン(15万円)を購入
- 耐用年数:4年
- 減価償却費:150,000円 ÷ 4年 = 37,500円/年
つまり、今年の経費は15万円ではなく、37,500円だけということになります。
残りの3年間も、毎年37,500円ずつ経費にしていくわけです。
【青色申告の場合】
- パソコン(15万円)を購入
- 30万円未満なので、一括で15万円を経費にできる(少額減価償却資産の特例)
同じパソコンでも、青色申告なら一括で経費にできちゃうんです。
よく買う備品の耐用年数
「じゃあ、何年で分ければいいの?」というのは、国が決めた「耐用年数」を使います。
- パソコン: 4年
- カメラ: 5年
- 車: 6年(普通自動車)、4年(軽自動車)
- 机・椅子: 8年
- エアコン: 6年
- ソフトウェア: 5年
だいたいこんな感じです。
減価償却の計算方法(定額法)
計算式はシンプルです。
取得価額 ÷ 耐用年数 = 年間の減価償却費
年の途中で買った場合
「7月にパソコンを買ったんだけど、どうなるの?」
その場合は、月割り計算になります。
例:7月に購入 → 7〜12月の6ヶ月分だけ経費計上
15万円 ÷ 4年 ÷ 12ヶ月 × 6ヶ月 = 18,750円
その年は18,750円だけ経費にして、翌年以降は37,500円ずつ経費にしていく、という流れですね。
会計ソフトでの登録方法
会計ソフトを使う場合は、こんな流れです。
- 「固定資産」として登録
- 取得価額、取得日、耐用年数を入力
- あとは自動で毎年の減価償却費を計算してくれる
難しそうに見えて、実は入力するだけで終わりなんです。
まとめ
10万円以上(青色申告なら30万円以上)の買い物は、減価償却が必要になります。
でも、会計ソフトが自動計算してくれるので、そんなに難しく考えなくて大丈夫。
もし、これから大きな買い物をする予定があるなら、青色申告にしておくと30万円未満なら一括で経費にできるので便利ですよ。
まとめ – 用語がわかれば、帳簿づけの9割は解決
ここまで解説してきた5つの用語を、もう一度振り返ってみましょう。
- 経費と所得控除 – 控除証明書が届くものは経費じゃない
- 家事按分(かじあんぶん) – 合理的な基準で按分比率を決めて、年度内は統一
- 事業主貸・事業主借 – プライベートとの混在を記録する科目(税金に影響なし)
- 源泉徴収 – 税金の前払い、確定申告で精算される(還付されることが多い)
- 減価償却 – 高額な買い物は数年に分けて経費化(会計ソフトで自動計算)
この5つを理解したあなたは
クラウド会計を開いたときに、「これ、経費?それとも控除?」って迷わなくなります。
入力するときも、「あ、これは事業主貸だな」「これは按分が必要だな」って、自信を持って進められるようになるはずです。
確定申告の書類を見ても、「ここに何を書けばいいか」がわかるようになります。
大事なのは完璧を目指さないこと
もしかしたら、「本当にこれで合ってるのかな?」って不安に思うこともあるかもしれません。
でも大丈夫です。細かいミスは、後から修正できます。
税務署が求めているのは、「完璧な仕訳」ではなくて「合理的な記録」なんです。
どうしてもわからないことがあったら、プロに相談するのも賢い選択ですよ。一人で抱え込まなくてもいいんです。
次のステップ – 実際に帳簿をつけてみよう
用語がわかったら、次は実践ですね。
「じゃあ、具体的にどういう順番で確定申告を進めればいいの?」という方は、こちらの記事も読んでみてください。












