「電子帳簿保存法…また法律が変わったの?」
確定申告のためにレシートを整理していると、「電子帳簿保存法に対応しなきゃ」という言葉が頭をよぎって、正直うんざりしていませんか?
売上を伸ばすことに集中したいのに、経理関係の新しいルールがどんどん増えていく。「罰則がある」なんて聞くと不安になるし、でも何から手をつけていいのかさっぱりわからない…。
そんな気持ち、よくわかります。
でも実は、電子帳簿保存法への対応はあなたが思っているほど難しくありません。むしろきちんと対応することで、確定申告前の領収書探しに費やしていた時間が劇的に減るんです。
この記事では、「面倒くさそう」「難しそう」と感じている個人事業主のあなたに向けて、最低限やるべき3つのステップを、できるだけシンプルにお伝えしていきますね。
電子帳簿保存法、個人事業主が知るべき核心
「電子帳簿保存法」って聞くと、なんだか難しそうですよね。でも、簡単に言ってしまえば、こういうことなんです。
「デジタルで受け取ったものは、デジタルのまま保存してくださいね」
それだけ。
たとえば、Amazonで事務用品を買ったときの領収書。メールで届いた取引先からの請求書。クレジットカードの利用明細。こういったものを、わざわざ印刷して紙のファイルに綴じていた方も多いのではないでしょうか?
実は2024年1月から、それがNGになったんです。2023年末までは猶予期間だったので、2024年からきちんと対応すれば大丈夫ですよ。
なぜこんな法律ができたの?
国としては、税務調査を効率化したいという狙いがあります。デジタルデータなら、改ざんの履歴も残るし、検索もしやすい。
でも、私たち個人事業主にとっても、実はメリットがあるんです。印刷の手間とコストがなくなり、保管場所も取らない。デジタルなら検索機能で一発で見つかるので、「あの領収書、どこだっけ?」と探し回る時間がなくなります。
「罰則」と「猶予措置」について
「対応しないと罰則がある」と聞いて不安に思っている方もいるかもしれませんね。
いきなり罰金を取られることはありませんが、税務調査で適切に保存されていないと指摘を受ける可能性があります。最悪の場合、「推計課税」といって、税務署が推測で税額を決めてしまうケースも。
ただし、小規模事業者への配慮もあります:
- 猶予措置:システム整備が難しい場合、タイムスタンプや検索機能などの細かい要件が免除される(恒久的)
- 検索要件の免除:2年前の売上が5,000万円以下の小規模事業者は、検索要件がまるごと免除
つまり、データをきちんと保存してさえいれば、細かいルールはそこまで厳しくありません。とはいえ、今のうちに仕組みを整えておいたほうが、精神的にも楽ですよ。
こんな人は要注意!対応必須チェックリスト
以下のどれか1つでも当てはまるなら、対応が必要です。
□ 取引先から請求書や見積書をメールで受け取っている
□ クレジットカードで経費を支払っている(Web明細)
□ クラウド会計ソフトやネットバンキングを使っている
□ 交通系ICカードの履歴をダウンロードしている
□ スマホ決済(PayPayなど)を事業用に使っている
□ サブスクサービスの請求書をメールやマイページで受け取っている
現代の個人事業主なら、ほとんどの方がどれか1つは当てはまるはず。つまり、「私には関係ない」と思っていた方でも、実はすでに電子取引をしているケースがほとんどなんです。
個人事業主が最低限やるべき3ステップ
電子帳簿保存法に対応するために、個人事業主が最低限やるべきことは、たった3つ。一度仕組みを作ってしまえば、あとはルーティンとして続けるだけです。
ステップ1:電子取引データの保存方法を決める
まず「どうやって電子データを保存するか」を決めます。
電子取引データとは:
- メールで届いたPDF請求書
- 取引先からメール添付で送られてくる見積書
- クレジットカードのWeb明細(PDF)
- ネットバンキングの取引明細
- サブスクサービスの請求書
これらを、電子データのまま保存する必要があります。印刷して紙で保存するのはNGです。
保存方法は3つ
①クラウド会計ソフトを使う【おすすめ】
freee、マネーフォワード、弥生などのクラウド会計ソフトには証憑保存機能があります。
- メリット:帳簿作成と証憑保存が一体化。検索機能やタイムスタンプも自動対応
- デメリット:月額料金がかかる(980円〜、初年度無料プランもあり)
②専用の証憑保存サービスを使う
TOKIUM、invox、楽々明細、sweeeepなど。
- メリット:電子帳簿保存法の要件に完全対応
- デメリット:個人事業主には費用が高い場合も
③パソコン/クラウドストレージで管理
GoogleドライブやDropbox、自分のパソコン内にフォルダを作って保存。
- メリット:無料でできる
- デメリット:ファイル名のルールや検索要件を自分で管理する必要がある
個人事業主で取引量がそこまで多くない方は、③のフォルダ管理でも対応できます。ただ、これから会計ソフトの導入を検討しているなら、①を選べば帳簿作成も証憑保存も一度に解決できて一石二鳥です。
ステップ2:保存ルールを実践する
保存方法を決めたら、具体的な保存ルールを決めます。
ファイル名のルールを決める
2年前の売上が5,000万円以下なら検索要件は免除されていますが、自分が探しやすいようにルールを持たせておくと便利です。
おすすめ:日付_取引先_金額_種類.pdf
例:20240115_ABC商事_50000_請求書.pdf
フォルダの分け方
年ごと、月ごとに分けると管理しやすくなります。
電子取引データ
└ 2024年
├ 01月
├ 02月
...
クレジットカードのWeb明細
カード会社のマイページから毎月PDFをダウンロード。ただし、カード明細だけでは不十分な場合があります。たとえば、Amazonで複数購入した場合、カード明細には「Amazon 合計10,000円」としか載らないので、個別の領収書も確認できるようにしておく必要があります。
Amazon・楽天などの通販サイトの場合
実は、Amazon・楽天などの通販サイトで購入した領収書は、必ずしもダウンロードする必要はありません。
以下の条件を満たしていれば、サイト上で確認できる状態のままでもOK:
- サイト側で7年間(保存期間)データが保管されている
- 税務調査の際にダウンロードできる状態である
- サイト側のシステムで訂正削除ができない仕組み
Amazon・楽天は10年以上前の購入履歴も確認できるので、この条件を満たしています。
ただし、外部サイトなので、サービス内容が変わるリスクもあります。月に数件程度なら念のためダウンロード、月に50件以上ならサイト上で管理、という使い分けもありです。
継続が一番大事
完璧を目指す必要はありません。「メールで届いたらすぐにフォルダに保存」「月末にまとめてダウンロード」など、自分が続けられるルールにすることが何より大切です。
ステップ3:紙のレシートをどう保存するか方針を決める
最後に、紙で受け取った領収書やレシートをどう扱うか、方針を決めましょう。
基本は紙のまま保存でOK
紙で受け取った領収書は、紙のまま保存して問題ありません。これまで通り、月ごとに封筒に入れたり、ファイルに綴じたりすれば大丈夫です。
電子帳簿保存法で義務化されたのは「電子取引データを電子で保存すること」であって、紙を電子化することは義務ではないんです。
任意でスキャナ保存もできる
紙の領収書もデジタル化してしまう「スキャナ保存」という方法があります。これは任意の制度。やってもいいし、やらなくてもいい。でも、やっておくと紙の保管スペースが不要になるし、検索も楽になります。
一番簡単なのは、スマホのカメラで撮影する方法。freee会計、マネーフォワード、弥生などのアプリは電子帳簿保存法のスキャナ保存要件に対応しているので、撮影して保存するだけで大丈夫です。
スキャナ保存した後、紙の原本は念のため2〜3ヶ月は保管しておくと安心です。
無理にデジタル化しなくてもいい
「紙は紙のまま保存」「電子データだけデジタル管理」という形でも全く問題ありません。無理にすべてをデジタル化しようとして挫折するより、できる範囲から始めるほうが長続きします。
まとめ
電子帳簿保存法への対応、思っていたより難しくなかったのではないでしょうか?
3つのステップをおさらい:
•クラウド会計ソフト、専用サービス、フォルダ管理から選ぶ
•ファイル名・フォルダのルールを決める
•Amazon・楽天はサイト上で確認できればダウンロード不要な場合も
- 紙のまま保存でOK
- 任意でスキャナ保存も可能
大切なのは、完璧を目指さず、まず最低限から始めること。
「対応しなきゃ」というプレッシャーから、「やってみたら意外と簡単だった」という安心感に変わっていたら嬉しいです。
もっとラクに、確実に進めたいなら
「一人で対応できるか不安…」
「経理の仕組み全体を見直したい」
「確定申告も含めて、もっと効率化したい」
そんな風に感じているなら、専門家のサポートを受けるのも一つの方法です。
電子帳簿保存法への対応だけでなく、経理の仕組み化、節税対策、将来のお金の設計まで、トータルでサポートを受けられるサービスもあります。
一人で悩まず、「もっとラクに、もっと確実に」進める選択肢があることを、覚えておいてくださいね。

