基礎控除額がアップしたのは、損なの?得なの?

コロナにより延長されていた確定申告期限も終わり、ホッとされている方も多いと思います。

今年も副業している方や節税を意識されている方からの質問をたくさんいただきました。

その中で、基礎控除額が2020(令和2)年から変わっていることってあまり気にしていない方も多いのですが、人によっては影響があるので整理しておきます。

基礎控除額とは?

そもそも、基礎控除とは何かというと

確定申告や年末調整において所得税額の計算をする場合に、総所得金額などから差し引くことができる控除の一つに基礎控除があります。基礎控除は、納税者本人の合計所得金額に応じてそれぞれ次のとおりとなります。

納税者本人の合計所得金額 控除額
2,400万円以下 48万円
2,400万円超2,450万円以下 32万円
2,450万円超2,500万円以下 16万円
2,500万円 0円

※  令和元年分以前の基礎控除の金額は、納税者本人の合計所得金額にかかわらず、一律38万円です。

国税庁サイトNo.1999基礎控除より

太字にしたところを読むとわかりますが、多くの方にとっては非課税枠が10万円増えることになります。ただし、合計所得金額が大きくなるにつれ非課税枠が段階的に下がり、2,500万円を超えると0になります。

では、多くの人にとって税金が少なくなるのでしょうか?

給与所得者(パート・アルバイトを含む)の場合

給与所得のみの方の場合、同じく2020(令和2)年度より給与所得控除(詳しくはこちら>)が10万円下がっているためほぼ影響はありません。(ちなみにこの給与所得控除額が下がっている部分だけ取り上げて「増税だ!」と怒っている投稿をSNSで見かけたことがありますが、その認識は間違いです。合計所得金額2,400万円を超えない限りはプラマイゼロなのです。)
扶養の範囲についても、配偶者控除が同時に改定され所得38万円以下→48万円以下が対象となったので、パートで扶養に入れる&所得税がかからないいわゆる「103万円の壁」は変わりません。

令和1年度までは、給与から給与所得控除の最低額65万円を引いた額が基礎控除38万円以下

収入 ー 給与所得控除(65万円) ≦ 38万円

という内訳だったのに対し、令和2年度以降は、給与から給与所得控除の最低額55万円を足した額が基礎控除48万円以下

収入 ー 給与所得控除(55万円) ≦ 48万円

となり収入の判定ラインは変わらず103万円です。

事業所得者の場合

事業所得者は恩恵を受けられる方も多いかもしれません。

というのは、事業所得の方の場合、扶養に入れる&所得税がかからないラインは「収入(つまり売上)」から「経費」を引いたあと、青色申告をしている人の場合「青色申告特別控除(帳簿のつけかたにより、10万円or65万円)」を引いた額が38万円以下

収入 ー 経費 ー 青色申告特別控除 ≦ 38万円

だったのですが、これが

収入 ー 経費 ー 青色申告特別控除 ≦ 48万円 

となるわけです。(毎年聞かれるのですが、個人事業主は103万円以上の収入があっても正しく経費や控除を引いて基礎控除額以内に収まれば、扶養範囲&非課税です)そしてこの青色申告特別控除については、電子申告など一定の要件(詳しくはこちら>)を満たせば2020年度以降も65万円となります。逆に言えば要件を満たさず提出した場合は55万円に減額となるのですが、もう紙で出すほうが煩雑な時代なので(←ココ思いっきり主観が入っていますが、混雑する窓口に行くとか、返信用封筒とか切手を同封して郵送とか面倒じゃないですか?)これからはほとんどの方が電子申告に移行していくと思われます。

結局得なの?損なの?

ご自身の合計所得金額や配偶者の所得(扶養を外れても一気に税金が増えないように配慮されている配偶者特別控除にも納税者の収入要件があります。詳しくはこちら>)により、増税となるパターン、減税となるパターンが異なります。

もしこの記事を読んで

・電子申告について詳しく知りたい
・何が経費になるかわからない
・青色申告のための帳簿付けとは?
・パートも個人事業もしている場合は?
・変動が大きく、収入の見通しの立て方がわからない

などの疑問をお持ちの方は、「経営力UPラボ」というFB上のオンラインコミュニティ(無料・非公開)で情報交換をおこなっているのでお気軽にお問い合わせください。

 

 

 
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