いつもの常備薬も対象!病気の予防で医療費控除の特例<28年度税制改正>
消費税増税が先送りになるというこのタイミング。
世の中的にはホッとしているという意見もある中で、FPとしていろいろと言いたいことはあります…
とはいえ、切り口を変えて今年度の税制改正で面白いと思ったものを取り上げてみたいと思います。
そもそも、税制ってなんで変わるの?
毎年、ちょっとずつ税制は変わっています。
その度に私たち専門家は資料を差し替えたりバタバタしております。
正直めんどくさいです。
なぜ変わるかというと、「そのときどきのご時世の中で、国の抱えている課題を解決するため」です。
例えば、消費税を上げるタイミングには
人生で最も大きな支出と言われる住宅購入の需要が落ちないように
住宅購入のための親からの贈与税の軽減やローン控除の拡大があったりします。
それ以前に、なぜ消費税をあげるかというと
少子高齢化により財源が不足するからであり、
それでも間に合わない年金の減少を支えるために
「自己責任」「自助努力」を推進するNISAなどの優遇策があります。
改正の都度、賛否両論はあるものですが、
私としてはなるほど、官僚もいろんな工夫してるんだなー、と感心してしまいます。
セルフメディケーション推進のためのスイッチOTC薬控除(医療費控除の特例)の創設
そんな中、今回私が「面白い!」と思ったのはこの税制
「セルフメディケーション推進のためのスイッチOTC薬控除」です。
どのようなものかというと、
利用期間
2017年1月1日~2021年12月31日まで
利用できる人
ふだんから次の検診や予防接種のいずれかをして、病気の予防や健康増進に取り組んでいる人
・特定健康診査
・予防接種(医師の関与のあるもの)
・定期健康診断
・健康診査
・がん検診
対象となる薬
スイッチOTCと呼ばれるもの。
これまで医師の処方せんが必要だった医療用医薬品の中で、副作用が少なく使用実績があるなどと判断され、薬局で購入できるように一般用医薬品・用指導医薬品に転用されたもの
例:胃腸薬の「ガスター10」、鎮痛剤の「ロキソニンS」
控除額
1年間に、自分や家族(生計を一にするもの)が購入したスイッチOTC医薬品の合計が1万2000円を超えた金額で、最高8万8000円まで。
たとえば、1年間に購入した医薬品の金額が10万円だった場合は、8万8000円をその年の所得から控除できる。ただし、この適用を受ける場合には医療費控除の適用を受けることができません。
なぜこの制度がうまれたか?
なぜ、国はこのような制度を作ったと思いますか?
それは、少子高齢化が大きく関係しています。
今、納税する人、社会保険料を納める人は激減する中、年金を受けとり、医療費助成を享受するであろう高齢者がドンドン増えるから。
日本の健康保険の自己負担割合は現状現役世代で3割、高齢者は所得により「1割〜2割」ですが、それってかなり優遇されていますよね。
病院や診療所に行かずに、自分で市販薬を購入して病気を治してくれる国民が増えるほうが、国にとっては都合がいい。
そんなわけで、この税制ができています。
個人的には、対象となるものにアロマや鍼灸みたいなマイルドな予防にもこれが適応されるといいなーと思います。