【開催報告】埼玉県主催 シニアライフプランセミナー
埼玉県は全国でも有数のサラリーマン県なのだそう。
ですが県の調査で3人に1人が60歳以降を見据えた準備を何もしていなかった、ということが判明。その課題をきっかけに県はシニアライフに備えることの大切さを学ぶライフプランセミナーを開催し、受講された方を「シニアライフ案内士」として認定するという取り組みをされています。
素晴らしい!
前回登壇した際は第一部を60歳からプログラミングを初めていまだ80代で現役の若宮正子さんが担当し、私もパワーと希望をもらいました!今回の第一部は杉村太蔵さん。薄口政治評論家で有名ですが、実は投資家でもいらして、そんな話をされるとのこと。ではFPの私は何を話そうかしら(かぶったらどうしよう)?とワクワクドキドキしながら当日を迎えました。
終えてみて、埼玉県以外の方にとっても参考になる話が多かったと思うので、ここで振り返ってみたいと思います。
杉村太蔵さんの講座
太蔵さん、打ち合わせでは物静かな礼儀正しい方、という印象でしたが本番になるとスイッチが入ったかのように声量も表情も一変。惹きつける展開にさっすがーと思いながら拝聴していました。講座の内容は
・詐欺師の手口
・書籍「ファクトフルネス」を引用しながら、思い込みを捨て、根拠を知ることの重要性
・万人向けの投資はない、という話
・株式投資をする場合、最低限学ぶべきこと
・人生100年時代を見据えた投資
と、奇をてらったものではなく(でも随所に面白いエピソードが入っていて)むしろ本質的で納得感のあるものでした。実は今回太蔵さんが投資のお話をされることが予想されていたので、異なる切り口で準備していたのですが、偶然にも私が第二部で何度も引用している「ライフシフト」という書籍の話もされていたり、「詐欺について」の内容も重なる部分が多く、でもこれは本当に強調したいことなのでむしろ第一部とリンクできて良かった!と思います。詐欺は高齢者が被害に遭う印象が多いかもしれませんが、実は老後の備えを真剣に考えている現役世代もかなり被害に遭っています。セミナーに参加してない方にもこれだけは共有したい、
「高利回りなのに元本保障」と言われたら、100%詐欺
ですよー!
私の講座
ということで、第2部で私が話したのは「無形資産について」。
日本に「人生100年時代」という言葉を広めるきっかけになったライフシフトという本(リンダ・グラットン著)には、人生100年時代という長い時間を過ごすためにはお金(や不動産や有価証券・・・)などの有形資産だけでなく、生産性資産、活力資産、変身資産が必要だと書かれています。これちょっと難しい言葉なので、私なりに言い換えると
- 稼ぎ力
- 健康や人間関係
- 変化に対応する力
ということになります。
どんなに両親が資産家でも、また離婚したパートナーからたくさんの財産分与や養育費をもらっていても、自分の仕事のスキルに自信がなかったり心にストレスを抱えていたり、刷り込まれた古い価値観から逃れられないでいると、人生の充足とは程遠い状態になります。長く、そして激しい変化が見込まれる人生の波を楽しく乗りこなすには、「自立」できていること、あるいは自立に向かっている、と感じられる状態が必須です。
無形資産の育み方
無形資産を育むための方法に「絶対」はないのですが、私なりにヒントと思っていることがいくつかあります。まずは、キャリアにおける新しい考え方「プランドハップンスタンス」理論が参考になると思います。
それに加えて、具体的なアクションとして講座ではこんな話をしました。
- 時間の使い方を工夫する
「緊急ではないけれど、重要なこと」のための時間を持とう。
ex.読書や健康づくり、心のメンテナンス- サードプレイスを持つ
家でも職場でもないつながりは視野を広げ、無意識の「当たり前」に気づくチャンス- 「学び続ける」と同時に「学びを手放す」
古い固定観念や過去の成功体験に固執することは自分の成長を阻む足かせにもなりうる
すぐにピンと来ない方もいると思いますが、お金の専門家としてたくさんの方のご相談を受ける中で、とにかくここが充実していないとお金だけあっても不安や虚しさが拭えないと強く感じます。
今回、埼玉県という行政が、そしてシニアライフという現実的なテーマで「無形資産」に関心を持ってくださって、私にとってとても励みになりました。
今後、私自身も学びを深めながら「無形資産」を豊かにするための自主開催講座も企画していきたいと思います。